十干物語:丙(ひのえ)君、頑張る1:五行町・町内会物語(1)
今回は、前回に引き続き、十干の物語です。物語の趣向を変えて、主人公は、「丙」です。舞台は、ある所に存在する「五行町・町内会」です。
ここは、五行町内会。
町内には、伏羲様を祀る廟(びょう:特定の人物を祀る建物)があります。
もう、梅の季節から、桜の季節になるのう。
わしの町内でも、役員交代の時期じゃな。
さて、さて、今年は、どうなることじゃろ。・・・・
さて、五行町内会には、役員選挙のルールがあります。
1,町内会には、10の組があります。
2,会長は、毎年、10の組から順番に交代で選出されます。
3,その他の役員(副会長、会計、会計監査、防犯委員、清掃委員、福祉委員)は、それ以外の組から選ばれます。
4,任期は、一年です。
さてさて、来年度の役員を決める寄り合いが始まりました。
全員が揃いました。
今年は、僕の居る「丙」組さんの出番だ。
去年の「乙」会長に負けないよう、頑張るぞ~~~~~~!
「甲」組さん代表ー大工さん 「乙」組さん代表ー花屋さん 「丁」組さん代表ーメークアップアーティストさん
「戊」組さん代表ーサラリーマン 「己」組さん代表ー農家 「庚」組さん代表ー歯医者さん
「辛」組さん代表ー宝石店社員さん 「壬」組さん代表ー消防士さん 「癸」組さん代表ーコックさん
さて、皆さん。
来年度の会長、「丙」組の「丙太郎」です。
よろしくお願いいたします。
今日は、役員選挙なのですが、先ず「立候補」、それから「推薦」の形で決めたいと思います。
どなたか、各委員さんへの立候補はございませんか?
私は、「甲」組の代表ですが、仕事が忙しくて、今年は無理です。
私も、「乙」組の代表ですが、同じ理由で無理です。
私は、「戊」組ですが、無理です。
私も、「己」組ですが、無理です。
う~~~ん。
皆さん、色々、ご事情がおありのようですが、何とかなりませんか?
各委員が決まらないと、町内会は成立しません。
し~~~~~~ん。
皆さん、それぞれ事情があるので、時間ばかり経ちます。
すると、
「壬」組代表の「壬次郎」です。
皆さん、困っておられるようなので、
僕で良かったら、副会長でも、会計でもします。ただし、仕事が仕事なので、そこは、ご理解頂きたいです。
あ、「壬」組さん。
ありがとう。
助かります。
では、副会長をお願いします。
了解です。
僕は、「壬」。
僕のパワーは、水です。
だから、僕の名前「壬(みずのえ)」はの意味するところは、水を意味します。
象形文字では、糸を巻き付けた「はた糸」の形が由来。そこから、「宿す、膨らむ、はらむ、大きくなる」と言う意味を持ちます。
また、作物の成長で例えると、「作物が収穫を終え、その後、また新たな命を、実の中に宿している」の意味から、成長の度合いを表すと、9つ目の段階。
「水」の兄」であって、弟は、「癸」。
壬が象徴するものは、大海、知恵、合理性、柔軟性、度量の大きさ、自由、奔放
皆さん、よろしくお願いいたします。
「壬」組さん、自己紹介、有難うございます。
では、僕も、自己紹介をします。
僕のパワーは、光と熱。
だから、僕の名前「丙(ひのえ)」の意味するところは、火を意味します。
象形文字では、祭壇のような脚が張り出た台の形が由来。そこから、「張り出して広がる」と言う意味を持ちます。
また、作物の成長で例えると、「芽が地上に出て葉っぱがつき、広がった状態」の意味から、成長の度合いを表すと、三つ目の段階。
「火の兄」であって、弟は、「丁」。
丙が象徴するものは、太陽、明るさ、強さ、照らす、活力、元気、決断、華やか、ストレート、集中力、粘り強さに欠ける
です。
ほぅ~~~、ところで、おふたりの組み合わせだと、「水」と「火」になるので、上手く行きますか?
あら、大丈夫ですよ。
おふたりの関係は、易経で言うと、「水火既済(すいかきせい)」と言って、お互いの存在によって整い合う、と言う意味ですよ。
じゃあ、大丈夫ですね。
良かったです。
後の役員は、どうしましょうか?
立候補が無ければ、くじ引きにしませんか?
その方が、公平ですよ。
と言うことで、後の役員は、くじ引きになりました。
私、会計になってしまいました。
福祉委員の「庚」です。よろしくお願いいたします。
私は、会計監査です。
防犯委員の「戊」です。
清掃委員の「甲」です。頑張ります。
こうして、新しい五行町内会の役員が決まりました。
さて、新年度は、どうなるでしょうか?
ー続く
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新しい町内会の役員が決まるのを、こっそり、でも、しっかり見ていた「伏羲様」。
思わず、独り言をつぶやきます。
何とか決まったのは、良いが、・・・・
大丈夫かのう・・・・?
あら、何を心配されているのですか?
会長の「庚」さんと副会長の「壬」さん、相性ばっちりって、言われていたじゃないですか?
いや、まぁ、そのふたりは、いいんじゃが、・・・・
町内会の主役の三役である、会長、副会長、会計の、3人のバランスがのう、・・・・。
う~~~ん、まぁ、何とかなるじゃろうかのう。
え?
もしかして、会計の「辛」さん、ダメなんですか?
「辛」さんが悪いのではないんじゃが、・・・・
「辛」さんはな、
彼女のパワーは、輝き。
だから、彼女の名前「辛(かのと)」の意味するところは、金を意味する。
象形文字では、罪人に入れ墨をする針の形が由来。そこから、「鋭い、つらい」と言う意味を持つ。
また、作物の成長で例えると、「収穫が終わり、新しい実をつけるための準備状態」の意味から、成長の度合を表すと、八つ目の段階。
「金の弟」であって、兄は、「庚」。
辛が象徴するものは、宝石、繊細、感受性、綺麗、華やか、神経質、打たれ弱い
「辛(かのと)」さん
と言うことは、丙さんは太陽、壬さんは大海、辛さんは宝石。
この組み合わせ、恰好いい感じしかしませんが。
まぁ、それは、おいおい説明することにしようかのう。
わしも、この町内会の守り神じゃでな。
見えないところから、サポートするつもりじゃよ。
そうですね。
何たって、伏羲様は、偉いお方ですから、・・・・
町内会の皆に代わって、お願いしま~~~~す。