【気学】道真さんに聞きましたー9:「河図洛書(かとらくしょ)」って、何ですか?

前回に引き続き、 京都の北野天満宮におわします「菅原道真公」と、一人の「迷える気学学習者」との「気学」を巡る対話です。今回は、「河図洛書(かとらくしょ)」に関するお話です。

道真様、こんにちは。
気学が、中国古代からの色々な思想や占術を基にして、成立しているのは、分かってきましたが、でも、もう少し、詳しくお教え下さい。特に、一番、初めの事とかが知りたいです。

ふむ、・・・
では、今日は、一番初めと言うことで、「河図洛書」について見てみようかのう。

あ、それって、以前にも出て来た言葉ですよね。
「地図」みたいなものが、川から出て来たりしたんですよね。

ははは、そういう言い方もあるかのう。
でも、それは、間違いじゃぞ。

伝説では、「河図洛書」の「河図」は、黄河から、竜馬が現れ、その背中に書かれていたものを「夏(か)王朝」の前の、伝説上の三皇五帝の最初である「伏羲(ふくぎ)」が書き残したと言われておる。
『易経』繋辞上伝には、「河図」は、「八卦」の元として述べられておるぞ。

また、「洛書」は、洛水から、神亀が現れた際に、その甲羅に書かれていたものを、紀元前2000年以上前の夏(か)の「禹(う)」が書き残したと言われておる。
『書経』の洪範九疇の基であると言われておるぞ。

そして、両者共に、前漢から後漢にかけて流行した讖緯説(しんいせつー未来予言説)と相まって多くの者たちに影響を与え、様々な解釈が為されたんじゃ。

龍馬
黄河から姿を現した「龍馬」
河図
河図ーWikipediaより
 2・7

南方
 
3・8

東方
5・10

中央
4・9

西方
 1・6

北方
 
 

「五行別:十数図」

一番上の図は、「河図(かと)」じゃ。元々は、伝説上の三皇五帝の一人である「伏羲」の時代に、黄河から「龍馬」が出現し、その背(腹)の模様を基に作ったものと言われておる。

真ん中の図は、宋代になると、「河図」、「洛書」は、「十数図」、「九数図」として、「黒い点=陰、白い点=陽」を当てはめたれるようになった。
しかし、どちらを「九数図」、「十数図」として見るかで、朱震、揚甲らと朱熹(しゅき)や蔡元定(さいげんてい)らとは、見方は別れたが、後には、朱熹や 蔡元定 らの見方が広がっていったんじゃよ。

奇数は、「天=陽」。偶数は、「地=陰」じゃ。
数の単位としては、生数(1~5)、成数(6~10)を使うぞ。

奇数じゃが、これは「陽」を表す。白い(〇)じゃな。
「陰」の極みであり、「陽」の始まりである北を「1」。
奇数は、太陽の巡りと同じじゃ。
それに奇数の次の文字3を掛けて「3」=東
それに3を掛けて「9」=西
それに3を掛けて「27」、上の10以上を除いて「7」=南
それに3を掛けて「21」、上の10以上を除いて「1」と元に戻る。
「四正(東西南北の方位)」と同じじゃな。

偶数は「陰」じゃ。黒い(〇)じゃよ。
南が、太陽が最も盛んになるので、ここを「陽」の極み、「陰」の始まりとする。
そこで、最初の偶数「2」を始まりとする。
偶数の巡りは、奇数の反対じゃ。
それに2を掛けて「4」
それに2を掛けて、「4」
それに2を掛けて、「8」
それに2を掛けて、「16」、上の10以上を除いて「6」
それに2を掛けて、「12」、上の10以上を除いて「2」と元に戻る。

そして、中央には、生数(1~5)の最も大きい「5」、成数(6~10)の最も大きい「10」を配置したんじゃよ。

下の図は、『易経』繋辞上伝にある「天地十数」における五行生成の方位じゃ。

「河図」は、五行で言う所の「相剋、相生」を表している。
互いに反対側のものは、「相剋」の関係になっており、時計回りでは「水→木→火→土(中央)→金→水」の「相生」になっておるんじゃ。

「河図」は、「天の図」とも呼ばれておるぞ。

神亀
落水から姿を現した神亀
洛書
洛書 ーWikipediaより
4

東南
9

南方
2

西南
3

東方
5

中央
7

西方
8

東北
1

北方
6

西北
        

「五行別:九数図」

上の図は、洛書(らくしょ)じゃ。
太一九宮(たいいつきゅうきゅう)ー天を主宰する神(北極星)ーの法が基となり、「縦・横・斜めの総和が15になる魔方陣」じゃ。

魔方陣とは、 「縦・横・斜めの総和が15になる 」ことを言う。たとえば、戦いの場に於いては、兵隊たちが戦う際に、どの方向から攻められても、同じ数になるよう配置されておるんじゃよ。

また、「15」と言う数は、月の満ち欠けを表しておる。月は、丁度、15日で、新月から満月へを一巡するじゃろ。

真ん中の図は、「九数図」と呼ぶ。
「十数図」と同様、宋代の、朱熹や 蔡元定 らによって、「洛書」を「九数図」としたんじゃよ。
「洛書」は、「河図」と同様に、1~9までの整数を用いるが、少し違う。

奇数(白い〇)じゃが、これは「陽」を表す。
「陰」の極みであり、「陽」の始まりである北を「1」。
奇数は、太陽の巡りと同じじゃ。
「1」に1を掛けても同じじゃから、
それに奇数の次の文字3を掛けて「3」=東
それに3を掛けて「9」=南
それに3を掛けて「27」、上の10以上を除いて「7」=西
それに3を掛けて「21」、上の10以上を除いて「1」と元に戻る。
「四正 (東西南北の方位) 」と同じじゃな。

偶数(黒い〇)じゃが、これは「陰」を表す。
「陽」の極み、陰の始まりは、北の反対である南じゃ。
既に、そこへ奇数が配置されておるので、太陽の巡りから見て、隣の位置から始まる。
偶数は、奇数の逆に巡る。
じゃから、始まりは「2」=西南
「2」に2を掛けて「4」=東南
それに2を掛けて「8」=東北
それに2を掛けて「16」、上の10以上を除いて「6」=西北
それに2を掛けて「12」、上の10以上を除いて「2」=西南と元に戻る。
「四隅(西南、東南、東北、西北)」と同じじゃな。

下の図は、五行別に色分けした図じゃ。北を最初として「水→木→火→土→金→水」の五行の循環が分かるのう。「土」が3つあるのは、万物が土の中から生まれ、そして、季節を持たないために、他の五行の調整役として存在するからじゃ。中央にあるのも、五行を統括するからじゃよ。

「洛書」も、 互いに反対側のものは、「相剋」の関係になっており、時計回りでは「水→木→火→土(中央)→金→水」の「相生」になっておるんじゃ。
「河図」と違うのは、前述したように、「土」が3つあるが、これを中心線として見ると、丁度、右上側が「陽」ー木、火であり、左下側が「陰」ー水、金となっておる。「洛書」は、「陰陽」で、2つに分けられるんじゃよ。

「洛書」は、「地の図」とも言われておるぞ。

もう一度、「河図洛書」を一緒に並べて見てみよう。

河図
河図ーWikipediaより
洛書
洛書ーWikipediaより

両者は、「似て非なるもの」であることが分かるかのう?

何だか、難しい事は良く分かりませんが、凄い図を、昔の人は、作ったのだけは分かります。
「黒と白の点、点」だけで、陰陽五行を言い表すなんて、凄いですね。

それだけ、昔の人は、長い、長い時間を掛けて、時の流れ、自然の神秘を見つけ出そうとしたんじゃよ。
人間には見えぬ「気」と言う自然のエネルギーを、見える形にしたのが、「河図洛書」じゃな。

私も、「気」を感じられるようになるために、もっと勉強しなければなりませんね。

その志、忘れるでないぞ。
過ぎ去った過去の出来事が起こった理由、また、見えぬ未来を見ようとするのが、「占術」じゃよ。
「占なう」と言う事は、「裏なう」、つまり、隠されたものを見つける、と言うことでもある。
「大事なものほど、隠される」、と言うでは無いか。
「占術」とは、自然と人間の間の「会話」でもあるんじゃよ。
それを忘れずに居れば、自ずと占うことが理解出来るぞ。

では、また、会おうぞ。